午前の病院の仕事
今朝も陽の光がまぶしく感じられました. 梅雨に入りましたが, 連続での降雨はまだありません.
昨晩は, ハードトレーニングだったので, 起床後に体が重く感じました.
朝食後, 通常通りに出勤しました.
病棟に上がると, 昨日手術された2人の患者さんは, いずれも問題なく経過されていて, 朝食を摂られていました.
後輩医師と一緒に病棟回診を行いました. 昨夕から発熱している入院患者さんがいらっしゃって, 今朝も38 ℃台あると病棟看護師から報告があり, 新型コロナの抗原検査を行うように指示しました. 病室を訪れると, ご高齢ですが, お元気そうでした.
回診後, 外来に降りると, 先ほどの抗原検査の結果, 陽性でしたとので, 患者さんを大部屋から個室に移動させて, 同室者も隔離しますとの電話が入りました. 血液検査の結果を見て, 炎症反応が高くないことを確認して, 新型コロナ感染症治療薬は投与せずに, 経過を診ることとして, 胸部CT検査のオーダーを入れました.
外来では, 20人の患者さんの診療を行いました. 新規の患者さんが来られて, 診察の結果, 腰部脊柱管狭窄による腰部神経根症(いわゆる, 坐骨神経痛)と診断し, MRIを撮像することにしました. お昼前にMRIが終わり, 検査の結果を説明して, 当面は薬物治療を行うことを提案して, 薬を処方しました.
11時半に外来診療を終えて, 12時半までは病棟に入院中の患者さんのオーダを入力したり, 退院後の紹介状を作成したりしました.
12時半に自分の部屋に戻って, ランチを摂り始めて間もなく, 陸上競技大会に参加していた学生さんが, 脚を骨折したようで, 救急搬送したいという電話が入り, 受け入れることにしました.
午後の病院での仕事と下腿骨開放骨折の急患
13時半に救急車が到着したとの連絡があり, 救急外来に向かいました. 走り幅跳びの競技中に踏み切った途端にすねが曲がって痛みを生じたとのことでした. 右すねは副子で固定されていて, 副子に巻いた包帯に出血がありましたので, 開放骨折(骨折した骨が皮膚を突き破って, 外に出てしまった骨折)を疑いました. X線写真を撮像したところ, 右すねの骨(脛骨と腓骨)がすねの足寄りのところで真横に骨折して, すねが外側に曲がっていました. 通常, 踏み切るような縦方向の力ですねの骨が真横に折れ曲がることはないので, 元々脛骨に疲労骨折があって, そこがついに折れた状態かと推察しました.
すねを固定していた副子を外すと, すねの皮膚に小さな孔が開いてそこから出血していました. また, すねには, 着地の際に付いた砂が付着していました. 皮膚を洗った後, 孔が開いた部分を糸で縫い合わせました. 幸い骨は露出していませんでしたが, 折れた脛骨によって皮膚に孔が開いたので, 開放骨折(骨折部で骨が皮膚を破って外界と通じた状態で, 『複雑骨折』とも言います. なお, 骨折した部分がバラバラに砕けている状態を『複雑骨折』と呼ぶと考えている一般の方が多いですが, この状態は, 『粉砕骨折』と呼びます. 一方, 『複雑骨折』の対義語として, 骨折部が皮膚に覆われていて, 外界に通じていない状態は『単純骨折(閉鎖骨折)』と呼びます)と診断しました. 開放骨折を生じると, そこから細菌感染を生じる危険性があるため, 早急に治療する必要がありますので, 親御さんの到着を待たずに, 洗浄と縫合を行いました.
しばらくして, 親御さんが病院に到着されたので, 病状を説明して, レントゲン透視装置で骨折部を確認しながら, 骨折して曲がっている骨を真っ直ぐに戻して, ギプスを巻いて固定することと, 後日細菌感染を生じていないことを確認してから, 骨折部を固定する手術が必要なことを説明しました.
その後, 放射線部に移動して, レントゲン透視で骨折した部分を見ながら, 足を牽引して真っ直ぐに戻して, ギプスを巻いて骨が真っ直ぐな状態を保つようにしました. 救急外来に戻って, ギプスを切って, ギプスシャーレ(ギプスの前方(上側)を切り取って, 後方(下側)に脚をはめ込んだ上から包帯を巻いて固定する)としました. 陸上競技をやっている学生さんで脚が太くて, 通常のギプス副子(ギプス製の板をあてがって, 包帯を巻いて固定すること)では骨折部がぐらついてしまって固定性が悪いことと, 皮膚に孔が開いた部分を観察できるようにする必要があることと, 骨折後に腫れが強くなるとコンパートメント(筋区画)症候群(出血などによる腫れのために, 筋膜という硬い膜で覆われた部分(筋区画)の内圧が高まった結果, 筋区画の中で血液の循環不良を生じて筋肉が死んでしまう(筋壊死)や神経が死んでしまう(神経麻痺)を生じる状態)を生じる危険性があるためでした.
ギプスシャーレ固定後, 脚が真っ直ぐになって, ぐらぐらしなくなったので, 松葉杖で移動できるようになりました. 当院までの通院は困難とのことでしたので, 明日以降手術を受け入れてくれる近くの病院を病診連携室で探してもらうことになりました. ここまでで, 約2時間かかりました.
合間に, 病棟で新型コロナが陽性となった患者さんの胸部CTが撮像されたので, 結果を確認しましたが, 幸い肺炎を生じている所見はありませんでした.
15時半前に外来に移動して, 予約の患者さんの診療を行いました. 2週間前に退院された癌の骨転移の患者さんでした. 入院中は, 癌が骨に転移した部位の破壊が進まないように治療を行っていましたが. その後痛みは楽になっているとのことでした. 当面は, 訪問診療を受けていただきながら自宅で過ごされることになり, 次回の予約を入れました.
ハムストリング筋部分断裂の急患
夕方の回診まで少し時間があったので, 小休止するために自分の部屋に戻ったところで, また陸上競技大会でケガをした学生さんが受診したいという連絡が入りましたので, 来ていただくことにしました.
16時過ぎに学生の患者さんが来られました. 走行中にふともも後方が痛くなって, 歩けなくなったと言うことで, 車いすに乗って診察室に入ってこられました. ふとももの後方を圧すと痛みがあり, 膝関節を曲げようとすると痛みが強まったことから, ハムストリング筋(膝関節を曲げる筋肉群)の部分断裂(いわゆる肉離れ)と診断しました. 遠隔地の方だったので, 地元の整形外科宛に紹介状を作成して, 鎮痛薬を処方しました. 自分で圧しても痛くなくなるまで, または膝関節を自力で曲げても痛みがでなくなるまで(概ね3週間以上)は, スポーツ活動を休止するように説明しました.
引用元 Balius R. Sonographic landmarks in hamstring muscles. Skeletal Radiol. 2019. 48.
16時半となったので, 急いで病棟に上がりました. 後輩医師と一緒に夕方の病棟回診を行いました. 新型コロナ患者さんが陽性となった病棟では, 同室者や接触したスタッフについても新型コロナ抗原検査を実施したところ, 職員も1人陽性となっていました. 私は, 病院内では, 自分の部屋で休むとき以外はマスクを着用して, 入院中の患者さんにも必要以上に近寄らないで距離を置くようにしていますが, 明日以降, 体調に変化がないかどうか確認しながら勤務を続ける予定です.
17時過ぎに病院を出ました. 今日は, 午後に雨が降ったようで, 車は濡れていましたが, 道路は既に乾いていました.
帰宅後, 昨日の疲れが残っていたので, 今日はトレーニングは休止しました.
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