受傷日+4日目 2024/2/28(水)(入院・手術)

手術前も仕事

通常, 大腿骨頚部骨折を受傷すると, 立って歩けなくなるので, すぐに救急車で病院に搬送されて, そのまま入院するか, あるいは, 診断後には手術待機のため入院するかですが, 私はというと自分の手術当日も予定の仕事があったので, 通常どおり勤務しました.

朝8時に病棟に上がって, 後輩医師と一緒に入院患者さんの回診を行いました. 当日は74人の患者さんが入院していました.

外来に行こうとすると, 自分が入院する病棟の看護師さんから, 「先生, バイタル(バイタルサインの略で体温, 血圧, 脈拍数, 酸素飽和度, 呼吸数などのこと)取らせて下さい」と言われ, 体温, 血圧, 酸素飽和度を測定してもらいましたが, 問題ありませんでした.

水曜日の午前中の外来は, 手術が入ることがあるので, 予約の患者さんの診療枠を少なく設定しており, 13人の患者さんを診療しました.

外来診療後, 12 時過ぎに, 今日自分が手術する予定の患者さんとそのご家族に手術の説明をしました. 松葉杖で病室に入った自分を見るなり, 患者さんとその奥様から「先生, どうされましたか?」, 「大丈夫ですか?」と声を掛けられたので, 「右脚を骨折したので, 今日, XXさんの手術を終えた後, 自分も手術してもらうことになっています. 」と答えたところ, 「本当ですか. お大事にしてください. 」とお気遣いをいただきました.

手術を受ける

自分の部屋に戻って, 13時すぎまで過ごしました. 朝から飲食していませんでしたが, 空腹は感じませんでした. また, 不思議と手術に対する不安や緊張はなく, むしろ初めて体験する全身麻酔や体内に骨接合の器械を入れられることの方にワクワクしていました.

13時半前に手術室の更衣室で, 来ていた白衣を脱いで, 手術用の着物(スクラブといいます)に着替えました. 白衣と履物を一緒にカバンに入れて, 手術部の看護師さんに, 手術後に自分が載るストレッチャーにカバンを一緒につけて, 病室に運んでもらうように頼みました.

14時半過ぎに自分が執刀した手術を無事に終えたところで, 「先生, では, 始めますか」と手術部の看護師さんに声を掛けられたので, その場でスクラブを脱いで裸になって, ストレッチャーに仰向けに寝ました. 左腕の静脈に点滴の針を刺してもらって, 心電図, 血圧計, 酸素飽和度計を付けられましたが, 自分でも驚くほどリラックスしており, モニターに映った心拍数はいつも通り, 60前後でした. 麻酔科の医師から, 「スッキリ目覚めと, ドロドロ目覚めとどっちにしますか?」と聞かれたので, 一寸迷いましたが, 「スッキリでお願いします」と答えました. その後, 「眠くなります」と言われてプロポフォールを注射された後は, すぐに眠ってしまいました.

手術後に入院

目が覚めると, 手術は終わっていて, 右ふとももの前方がしびれて感覚が鈍くなっているのと, 右ふとももの外側に腫れたような違和感と突っ張る感じがありました.「ああ, 予定通り, 大腿神経ブロックが行われて, 右大腿筋膜張筋と外側広筋が切られたんだな」と判断しました.

「痛くないですか?」と麻酔科の医師に聞かれたので, 「痛くないです」と答えましたが, 喉に違和感とかすかな痛みがあり, 「これが挿管後の感じか」と納得しました.

後輩医師から, X線透視装置のテレビモニターをプリントアウトした紙を見せられて, 「無事, 終わりました. これです.」と告げられました. 自分でも無事に器械が大腿骨に入っているのを確認しました.

手術後の股関節単純X線写真
手術直後の股関節X線写真前後像では, 右大腿骨にFemoral Neck Systemの器械が入っていました.

牽引手術台からストレッチャーに移されて, 放射線部に移動しました. 手術後のX線写真の撮影が行われましたが, 自分でお尻を持ち上げたり, 右股関節を横に広げたりしたら, 「先生, 動きすぎです」と看護師さんに注意されました.

病棟に上がって, 待機していた妻に「無事, 終わりました」と自分で報告してから病室に入って入院しました.

ベッドに移されて, 胸には心電図の電極が貼られて, 指先には酸素飽和度計が着けられて, 右脚にはフットポンプ(脚の血管(静脈じょうみゃく)の中に血栓(けっせん=血液の塊)ができないように一定の間隔で空気圧で脚を締めつけることによって, 血管の中の血液の流れが停滞しないようにする器械)が巻き付けられました.

看護師さんからナースコールのボタンと自分のiPhoneを渡されて, 時計を見ると17時前でした. カバンの中に入れておいたお茶のペットボトルをオーバーテーブルに載せてもらい, 「19時半から飲水してよいです. 夜ご飯はどうしますか?」と聞かれたので, 「夜ご飯は要らないです」と答えました.

手術後のベッドサイドモニタ画面
手術後のベッドサイドモニタ画面では, 心拍数64回/分, 血圧120/72mmHg, 酸素飽和度100%, 呼吸数15回/分で問題ありませんでした.

頭を持ち上げて枕元にあったベッドサイドモニター画面を見て, 異常がないのを確認して, ついでにiPhoneで撮影しました.

キズの痛みとアセリオ

ウトウトして, 目が覚めてを繰り返して, 19時過ぎになると, 右ふとももがちょっと痛くなってきましたが, 後輩医師がアセリオ(アセトアミノフェン注射薬)を19時, 23時, 6時の定時で点滴するようにオーダーしていてくれたので, ナースコールを押さないで済みました. アセリオをつなぎに来た夜勤の看護師さんに今日自分が手術した患者さんの具合を聞くと, 「もう, 夕ご飯を食べて, 歩いてトイレにも行っています. 出血もないです」とのことでした.

アセリオの点滴が始まると, 30分位で右ふとももの痛みがすーっと引いてくるのが分かり, 「アセリオは効くなあ」ということを初めて実感しました. 起き上がって, お茶を飲んでみると, 嘔気はなく, 普通に飲めましたが, 喉にはやはり違和感がありました.

23時ごろ, 痛くなってきた頃にまたアセリオを入れてもらい, 「手術後の患者さんに定時でオセリオを注射するのは, 良いアイディアだな. これからは自分が手術した患者さんにもアセリオを定時で使おう. 」と決めました. その後は, 朝まで目が覚めることなく眠りました.

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