朝の様子
「昨日より痛みが和らいでいるのではないか」・・・そんな淡い期待を抱いて目覚めました. しかし, 右大腿部の痛みは前日と変わらず, 股関節を動かすたびに鋭い痛みが走りました.
ワイシャツとスラックスに着替えて, 松葉杖をつきながら慎重に階段を降りてリビングへ. 椅子に腰掛けるだけでも股関節を曲げる動作が苦痛であり, 改めて骨折の可能性を確信しました. 股関節をなるべく曲げないようにゆっくりクルマに乗り込んで, 勤務先の病院へ出勤しました.
大腿骨頚部骨折の診断確定
クルマは, 職員用駐車場ではなく, 自分の部屋がある管理棟の入り口のすぐ近くに停めました. 自分の部屋で 白衣に着替えましたが, 右股関節を痛くて曲げられないため, 時間がかかりました.
8時からの病棟回診のために病棟に上がったところで松葉杖姿を見た後輩医師から「先生, どうされました?」と声が飛びます. 「土曜日にスキーで転倒して, 大腿骨近位部を骨折したかもしれない」と答えると, すぐにX線とCTのオーダーが出されました. 頼むより先に検査を手配してくれる, その手際にありがたさを感じました.
回診を終えて朝礼に出ると, 同僚やスタッフから次々に「スキーでケガですか?」と声をかけられます. どうやら「スキー好きの整形外科医」というイメージは, 想像以上に院内に浸透していたようでした.
幸い, この日は午前中に定期健診を予定していたので, 外来診療は休診でした. 健診センターに移動しました.
身長・体重・腹囲計測, 採血・検尿, 視力検査, 聴覚検査, 心電図検査と進み, 最後に胸部単純X線写真の撮影と一緒に, 先ほど後輩医師によってオーダーされていた股関節のX線写真とCTの撮像をしました.

Garden stage IIと診断しました.


骨折線は頚部の内側まで貫通していました.

すぐに撮影室のテレビモニターを見て, 右大腿骨頚部骨折(Garden stage II, 非転位型)と判りました. 真っ先に頭に浮かんだのは, 「骨折してしまった」ということよりも, 「今シーズンのスキーは, これで終了か・・・」ということでした.
外来診察室に移動して, 再診予約のあった患者さんの処置を行った後, 自分の骨折をテレビモニターで眺めていると, 後輩医師がやってきて, 「先生, どうしますか?」と聞かれたので, 「手術だね, これは」と悲壮感を気取られないように明るく返答しました.
手術室の予約状況を確認してもらって, 2日後の2月28日水曜日の午後に手術をすることが早速決まりました.
その後は, 病棟で入院患者さんの指示出しを済ませて, この日の午後に予定していた手術の説明を患者さんとご家族にした後, 自分の部屋に戻ってランチを摂りました.「もっと慎重に降りていれば・・・」, 「やまびこEコースを降りていなければ・・・」という後悔ばかりが, 浮かんできました.
骨折していても手術を執刀
13時過ぎに手術部に移動して, 手洗い(手の消毒)を行って, 手術器具を載せる器械台を支えに, 手術室の中の手術台近くまでケンケンで移動して, 今日の予定手術を執刀しました. 幸い, 椅子に腰掛けてできる手術でした.
病棟に上がって, 患者さんのご家族に手術後の説明を行った後, 2日後に自分が入院でお世話になる病棟のスタッフに向かって, 「明後日入院しに来ますので, よろしく」と明るく挨拶しました.
16時半から夕方の病棟回診を行いました. 整形外科に入院している患者さんは76人, 自分が主治医となっているのは25人でした.
その後, カルテの記載, 指示出し, データ整理などを行って19時前に帰宅しました.
妻への報告
妻には, 骨折が判明してから直ぐにラインで連絡していました. 明日, 明後日も普通に働いて, 自分が執刀する予定手術を終えた後に, 自分の手術をしてもらってから入院して, 明後日には帰ってくるつもりと今後の予定を伝えました.
体重をかけないかぎり骨折の痛みはあまりなかったので, 痛み止めの薬は内服しませんでした.
夕食後, シャワーを浴びて, いつも通り12時過ぎに就寝しました.
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