スイスのチューリヒ大学の解剖学者Georg Hermann von Meyer先生(1815-1892)は, 骨の内部に存在する海綿骨の配列(骨梁(こつりょう)構造)が, どの人でも共通していることを1860年代に見出しました.
(骨梁については, 以下の記事を参照下さい)
当時は, まだX線が発見されておらず(X線の発見は, 約30年後の1895年ドイツのWilhelm Conrad Röntgen先生(1845-1923)による), 骨のカットモデルの観察とスケッチだけからこの骨梁構造を発見されたのです.
一方, 構造工学と数学を専門とされていたスイス連邦工科大学の工学部教授Karl Culmann先生(1821-1881)は, 1866年に『Die Graphische Statik. Zurich. Verlag von Meyer & Zeller. 1866.』を出版されました. その著書の中でCulmann先生は, グラフィカルな分析を用いて, 構造物内で応力の伝達がどのように決定できるかについて説明しました.
余談ですが, Culmann先生の教え子であり, フランスのAlexandre Gustave Eiffel(1832-1923)が設立した土木建築会社エッフェル社の社員であったMaurice Koechlin(1856–1946)は, フランスパリのエッフェル塔(1889年のパリ世界博覧会のために完成)の設計とエンジニアリングにCulmann先生の仕事を利用されました.
von Meyer先生は, 自身の講義Archief fur den Anatomischen und Physiologischen Wissenschaften im Medicin. 1867, 27を聴かれたCulmann先生とのやりとりのなかで, 骨梁構造が圧縮応力と引張応力に対応するための構造であることを発見されました(von Meier GH. Die Architectur der Spongiosa. Arch Anat Physiol Wiss Med. 1867. 34).
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