ビタミンKの種類(日本人の食事摂取基準(2020年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書, 厚労省)
- 側鎖構造のみが異なるフィロキノン(ビタミンK1)とメナキノン類に大別されます.
- フィロキノンは, 植物の葉緑体で合成されますので, 緑色野菜に多く含まれます.
- メナキノン類は, 微生物によって合成されますので, 納豆のような発酵食品に多く含まれます.
- 側鎖のプレニル基を構成するイソプレン単位の数(4-14)により11 種類の同族体がありますが, 動物性食品中に多いメナキノン-4(ビタミンK2)と納豆菌が産生するメナキノン-7が栄養上重要になります.
- ビタミンK1よりもK2の方が効果が大きいという報告があります.
ビタミンKの供給源(日本人の食事摂取基準(2020年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書, 厚労省)
- 食事から摂取されるもの, 腸内細菌が産生するメナキノン類, そして生体組織内でフィロキノンが酵素によって変換されて, メナキノン-4が生成されるという3つの供給源があります.
- 腸内細菌や生体組織内で産生されるメナキノン類の産生量は, 生体の需要を満たすほど多くはありませんので, 食事からの摂取が重要となります.
食品中のビタミンKの量(食品成分データベース, 文部科学省)
ビタミンKは, 海藻類, 青物野菜類, 大豆, 鶏肉に多く含まれます. スーパーマーケット等で日常的に購入しやすいビタミンKを多く含む食品中のビタミンKの量は, 以下のとおりです.
海藻類(可食部100gあたり) | ビタミンK(μg) |
あまのり/干しのり | 2600 |
あまのり/味付けのり | 650 |
あまのり/焼きのり | 390 |
わかめ/生 | 140 |
わかめ/湯通し塩蔵/塩抜き/生 | 110 |
わかめ/湯通し塩蔵/塩抜き/ゆで | 50 |
めかぶわかめ/生 | 40 |
干しひじき/ゆで | 40 |
野菜類(可食部100gあたり) | ビタミンK(μg) |
パセリ/生 | 850 |
シソ/葉/生 | 690 |
しゅんぎく/葉/ゆで | 460 |
ほうれんそう/葉/油炒め | 510 |
ほうれんそう/葉/ゆで | 320 |
モロヘイヤ/葉茎/ゆで | 450 |
バジル/葉/生 | 440 |
にら/葉/ゆで | 330 |
にら/葉/油炒め | 220 |
こまつな/葉/ゆで | 320 |
いとみつば/葉/ゆで | 250 |
ブロッコリー/花序/ゆで | 190 |
せり/葉/ゆで | 160 |
豆類(可食部100gあたり) | ビタミンK(μg) |
納豆/挽き割り | 930 |
納豆/糸引き | 870 |
がんもどき | 43 |
油揚げ/ゆで | 26 |
生揚げ | 26 |
肉類(可食部100gあたり) | ビタミンK(μg) |
にわとり/つくね | 47 |
にわとり/若どり/むね皮つき/焼き | 44 |
にわとり/若どり/むね皮なし/焼き | 29 |
にわとり/若どり/もも皮つき/から揚げ | 44 |
にわとり/若どり/もも皮つき/焼き | 34 |
にわとり/若どり/もも皮なし/ゆで | 25 |
にわとり/ささき/フライ | 35 |
にわとり/チキンナゲット | 27 |
ビタミンKの食事摂取基準(日本人の食事摂取基準(2020年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書, 厚労省)
- 成人では, 1日150 μgに設定されています.
- 一方, フィロキノンとメナキノンについては大量に摂取しても毒性は認められていないことから, ビタミンKには, 健康障害を未然に防ぐ量(耐用上限量)は設定されていません.
ビタミンKの作用(日本人の食事摂取基準(2020年版)「日本人の食事摂取基準」策定検討会報告書, 厚労省)
- ビタミンKは, もともと肝臓でプロトロンビンやその他の血液凝固因子を活性化して, 血液の凝固を促進するビタミンとして発見されました.
- 血液凝固因子(第 II・VII・IX・ X 因子)にカルボキシル基を導入する酵素γ-カルボキシラーゼの補酵素として働きます.
- 骨に存在するたんぱく質オステオカルシンを活性化することによって, 骨形成を調節します.
- ビタミンK依存性たんぱく質 MGP(Matrix GlaProtein)の活性化を介して動脈の石灰化を抑制します.
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