午前の病院での仕事と上腕骨・前腕骨骨折の急患
今日も秋晴れの爽やかな朝.
澄んだ空気の中を出勤しました.
8時前に病棟へ上がり, 昨日後輩医師が執刀した2例(変形性膝関節症に対する人工膝関節全置換術, 前十字靱帯損傷に対する関節鏡下再建術)の経過を確認. どちらも順調で, 今日からリハビリテーションを開始することになりました.
8時からは後輩医師とともに朝の病棟回診.
9時前には外来に降り, 21名の患者さんを診療しました.
その中に, 高齢者施設に入所中の前期高齢の方が受診. 未明に転倒し, 右肩と手首の痛みを訴えていました.
X線撮影の結果, 上腕骨頚部骨折と前腕骨(橈骨・尺骨)遠位端骨折を確認.

橈骨は骨折部で短縮, 尺骨は骨折部で回転してズレています.
透視下で前腕骨の整復を行い, ギプス固定で安定を得ました.

一方, 上腕骨頚部骨折は骨折部で横方向への転位が大きく(上図中央 Type B), 手術治療を提案しましたが, 患者さんには相談出来る身寄りがなく, うつ病で精神科に通院中. すぐに決断することが難しいご様子でした.
腕を三角巾で吊って, 胸部固定帯を巻いて, 固定した後, 手術説明書をお渡しし, 来週までにご検討いただくことにしました.
12時過ぎから午後に日帰り手術を行う患者さんに, 麻酔と手術の説明を行って, 12時半に外来診療を終えました.
午後の病院での仕事

昼食後, 手術部へ移動.
13時半からひとさし指(示指じし)に発生した軟部腫瘍の摘出手術を執刀しました. MRI所見では神経または血管由来の腫瘍が疑われましたが, 術中所見では神経鞘腫(良性腫瘍)と判断. 被膜を切開し, 腫瘍を核出しました. 手術時間は約20分でした.
手術後にご本人へ結果を説明し, 外来を終えてから来週予定している6件の手術プレゼン用スライドを作成.
その後, 製薬会社の担当者と面談し, 『FGF23関連低リン症性くる病』の治療薬について説明を受けました. 大学病院勤務時代には数例を経験しましたが, 現在の病院では11年間出会っていません.
第3腰椎椎体骨折の急患
15時過ぎ, 救急隊から「腰痛で動けない高齢患者を搬送したい」との連絡が入り, 受け入れることにしました.
16時前に救急車が到着. 2日前に自宅階段から転落し, 当初は自力でトイレに行けていたものの, 朝から痛みが悪化して動けなくなったとのことでした.
腰椎や骨盤を圧しても明確な圧痛はなく, 痛みの部位は特定できませんでした.
X線とCTの結果, 第1・4腰椎に圧潰像を認めましたが, 新旧の判別は困難で, MRIを追加しました.
16時半から夕方の病棟回診を行い, 入院患者数74人のうち, 自分の主治症例は42人.
MRI結果を確認するため救急外来へ戻ると, 第3腰椎に新規の骨折像を確認. 入院加療が必要と判断し, 入院時検査と指示を電子カルテに入力しました.
17時半過ぎ, ようやく病院を出ました.
空には上弦の月が静かに浮かんでいました.

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