午前の病院での仕事
今朝は雲が多くて, 少し涼しく感じました. そう言えば, セミの声がすっかり聞こえなくなりました.
通常通りに出勤しました.
8時前に病棟に上がって, 昨日後輩医師の執刀で手術が行われた患者さん(両側の変形性膝関節症に対する両側同時人工膝関節全置換術, 膝蓋骨骨折に対する骨折観血的手術)の2人の経過を確認しました. お二人とも問題なく経過されていました.
8時から後輩医師と一緒に朝の病棟回診を行いました. 途中, 入院中の前記高齢患者さんが喉が痛くて咳が出ると訴えられたので, 熱はありませんでしたが, 念のため新型コロナとインフルエンザの抗原検査を行うようにオーダーを入れました.
8時半から講堂に集まって, カンファランスを行いました. 今日は, 抄読会(英語論文を読んで, その内容を概説する講義)と手術カンファランスでした. 来週は, 5件の手術を予定しています.
9時前に外来に降りて, 32人の患者さんの診療を行いました. 今日は午後に2件の手術を執刀するので, 予約のない患者さんは, 予約を入れていただいて, 帰っていただくようにしました. 予約の患者さんだけでしたのでスムーズに進みました.
途中, 病棟看護師から電話がかかってきて, 朝の回診時に喉が痛いとおっしゃっていた患者さんの検査の結果, 新型コロナ感染であったと報告されました. すぐに隔離処置をとるように指示しました. 当該病等では, もう1人新型コロナ感染の患者さんが発生しました. いまのところ, 病院内ではこの2人だけです. 感染が拡大して, 病棟を閉鎖する事態にならないように注意を促しました.
12時前に外来診療を終えて, 病棟に上がりました. 午後に肩と背中に生じた脂肪腫という脂肪性良性腫瘍を摘出する中高年の患者さんとそのご家族に手術の手術の説明を行いました. 2カ所の腫瘍を同時に摘出するため, 1泊2日の入院で全身麻酔で手術する予定です.
12時半に自分の部屋に戻ってランチを摂りました.
午後の病院での仕事と脂肪腫の摘出術
13時半前に手術部に移動しました.
13時半から肩と背中に生じた脂肪腫を摘出する手術を行いました. 予定通り, 40分ほどで終了しました.

大きな脂肪腫に対しては, 切開が最小限となるように皮膚の切開を工夫することで, 傷跡を小さくすることができます.
脂肪腫は, 脂肪細胞の良性腫瘍であり, 放置していても通常問題となることは少なく, 手術を行う目的は主に美容上, 整容上の問題からです. このため, 手術後の傷跡ができるだけ目立たなく, 小さくなるように心がけています.
脂肪腫と異型脂肪腫様腫瘍の鑑別
手術前には, 必ず造影MRIを撮像して, 中間型(良性と悪性の間の性質)の異型脂肪腫様腫瘍atypical lipomatous tumor(ALTと略称されます)でないことを確認しています. ALTでは, 摘出術後に腫瘍が再発したり, あるいは脱分化という変化によって, 悪性度の高い脱分化型脂肪肉腫というがん(軟部肉腫)に変化することがあるからです. ALTが疑われる場合には, 摘出手術前に腫瘍の一部を切り取って, それを病理組織学的検査に提出する生検という検査を行うか, 大学病院に紹介することにしています.

脂肪腫(A, B)では, 内部がほぼ均一で, 境界が明瞭です.
一方, 異型脂肪腫様腫瘍(C, D)では, 内部に隔壁と呼ばれる黒いスジがあったり, 境界がやや不明瞭であり, 筋肉の中から皮膚の下の皮下脂肪に進展したりすることがあります.

脂肪腫では, 腫瘍内部に隔壁がないか, あっても2 mm未満の薄い隔壁であるのに対して, 異型脂肪腫様腫瘍では, 隔壁が2 mm以上と厚くなっています.

異型脂肪腫様腫瘍(B)では, 腫瘍の内部に造影剤によって白く染まる領域があります.
脂肪腫(D)では造影剤によって白く染まる領域はありません.

異型脂肪腫様腫瘍は, 脂肪腫に比べて, 脚や体に発生することが多く, 大きさは13 cmを超えて大きく, 内部の隔壁が2 mm以上で厚くて, 造影剤による造影効果が認められ, 結節と呼ばれる塊を形成することが多くなります.
脂肪腫とALTをMRIで見分けるポイントは, 腫瘍の内部が均一か不均一か, 腫瘍の境界部分が明瞭か不明瞭か, 腫瘍が結節と呼ばれる塊を複数形成するか, 内部に隔壁という構造があるかどうか, 隔壁の厚みが2 mm以上かどうか, 造影剤を注射したときに, 腫瘍の内部が造影剤によって白く染まるかどうかになります.
もちろん例外もあって, MRIで両者を100 %見分けることは不可能なので, 手術で摘出した腫瘍を必ず病理組織学的検査に提出して, 脂肪腫かALTかを確認する必要があります.
病理組織学的検査を診断する病理医は, 軟部腫瘍の病理診断の経験が豊富な病理医に診てもらう必要があります. 当院では, 骨・軟部腫瘍の病理診断の際には, 骨・軟部腫瘍を専門としている病理医に標本を提出しています. また, 病理診断が脂肪腫と診断されてレポートが返ってきた後でも, 臨床的にALTが疑われる事例では, 病理医に連絡して遺伝子診断まで行っていただいて, 最終診断を行っています.

異型脂肪腫様腫瘍または高分化型脂肪肉腫(ALT-WDLPS)では, MDM2遺伝子は100 %, CDK2遺伝子は91 %の事例で増幅していたのに対して, 脂肪腫(Benign adipose tumors)では, MDM2遺伝子は4.2 %, CDK4遺伝子は2.3 %の事例でしか増幅していませんでした.
以上の結果から, MDM2またはCDK4の遺伝子増幅が認められれば, ALTであると確定診断ができます.
ALTでは, MDM2またはCDK4という遺伝子が増えている(増幅している)のが特徴です. また, しばしば他の軟部肉腫と区別して診断するのが難しい脱分化型脂肪肉腫dedifferentiated liposarcomaにおいてもこれらの遺伝子が増幅してるのが診断の決め手になります.
大腿骨頚部・頚基部骨折の大腿骨人工骨頭挿入術
14時半からは, 大腿骨頚部・基部骨折を生じた100歳間近の超高齢患者に対する人工骨頭挿入術を執刀しました.
この患者さんは, 先週の金曜日に入院されましたが, 入院時の血液ガス分析検査の結果, 血液が酸性になる代謝性アシドーシスという異常がありました. 当初は, 内服している高血圧の薬アルダクトンの副作用と判断して, 薬を中止して, 血液の酸性度が戻るか経過を見ました. しかし, さらに酸性度が上がったため, 薬の副作用ではなく,もともと低下している腎臓の機能障害による尿細管性アシドーシスという状態と判断して, 血液をアルカリ性にする薬メイロンの点滴とウラリットの内服を行って, 正常な弱アルカリ性まで戻しました.
また, 以前から貧血があって, 鉄剤フェロ・グラデュメットを内服されていましたが, 入院後に貧血が進んだため, 輸血しました.
以上のような手術前の治療に, 1週間かかりました.
手術では, ダメージが最小限になるように, 丁寧に, しかし, スピーディに手術を進めて, 50分弱で終了しました. 手術中の出血量は, 50 mLで済みました.

17時前に病棟に上がって, 手術を行った患者さんのご家族に手術の経過について説明しました. 腫瘍の手術を行った患者さんは, すっかり麻酔から覚めていたので, 摘出した腫瘍も見てもらいました.
17時半過ぎに病院を出ました.
今週も終了
帰宅後, エアロバイクを軽く30分漕ぎました.
入浴後, アサヒビールサーバーの生ビールスーパードライエクストラコールドと日本酒を飲んで, 今週の疲れを癒やしました.

日本酒は, 奈良に学会に行った際に買ってきた千代酒造の『ちよ 純米大吟醸』でした. 純米大吟醸でしたが, 700円ほどでお手頃価格でした.
とても甘みがあるのに, スッキリした味わいで, 夏の夜の食事に合ったお酒でした.
岩手県普代村へのふるさと納税の返礼品でいただいた一夜干しイカをつまみにいただきました.
コメント