手術日+538日目 2025/8/19(火)(人工股関節脱臼)

午前の病院での仕事

今朝は快晴で, 青空が広がっていました. 最高気温は, 35 ℃近くとの予報でしたが, 朝は25 ℃以下で爽やかな気候でした.

通常通りに出勤しました.

8時前に病棟に上がって, 8時から後輩医師と一緒に朝の病棟回診を行いました.

8時半に講堂に移動して, カンファランスを行いました. 今日は, 口腔外科の歯科衛生士による院内歯科診療の実態についての発表でした.

9時前に外来に降りて, 午前中は36人の患者さんの診療を行いました. お盆明けでしたが, 概ね予約の患者さんだけでしたので, スムーズに進みました.

13時に外来診療を終えて, 自分の部屋に戻ってランチを摂りました.

午後の病院での仕事と人工股関節脱臼の急患

14時に外来に戻って, 8人の患者さんの診療を行いました.

15時過ぎに自分の部屋に戻って, 製薬会社の方とオンラインで面談を行いました. 9月と11月に開催される講演会の座長を頼まれており, その打ち合わせでした.

打ち合わせが終わったところで, 今週の金曜日に院内のカンファランスで話す内容をスライドにまとめようとしたところ, 救急患者の受け入れ要請の電話が来ました. 人工股関節の手術を受けた患者が屈んでから動けなくなり, 人工股関節の脱臼が疑われるとのことでした. 手術が行われたのは, 市外の別の病院でした. すでに3つの病院で収容を断られたとのことで, 受け入れることにしました.

16時過ぎに救急車が到着したので, 救急外来に出向きました. 患者さんは, 1年前に他の病院の整形外科で人工股関節置換術を受けられた後期高齢者でした. 執刀したのは, かつて大学病院に在籍していた当時に一緒に働いていた後輩医師でした.

昼間, 農作業を行った後, 汗を流すためにシャワーを浴びようと脱衣中に, 靴下を脱ごうとして屈んだ際に, ボキッとと音がして, それ以後, 痛くてふとももが動かせなくなり, 救急車を呼んだそうです.

引用元:Tokgöz E. Surgical approaches used for total hip arthroplasty in Total Hip Arthroplasty. 2022. Springer.

手術の傷跡の部位を確かめたところ, お尻の斜め後方にあったので, 後方アプローチ(上記posterior MIS approach)で手術されていることが判りました. また, 脚の変形(股関節が内側にひねられた状態(内旋位)で閉じている状態(内転位))を見て, 人工股関節の丸い先端(ヘッド)が股関節の凹み(カップ)の後方に脱臼していると診断しました.

X線写真とCTを確認したところ, 他に骨折等は見当たりませんでした. 全身麻酔前の検査を行って, 手術部と麻酔科の医師に連絡しました. 既往歴を聞いたところ, 甲状腺機能亢進症で大学病院にかかっているというので, 内服薬を調べましたが, お薬手帳を持参されておらず, かかりつけ薬局に電話して, 処方箋をファックスで送ってもらうことにしました.

その結果, 高血圧, 糖尿病, 脂質異常の薬を内服していました.

血液検査の結果, 血糖が高くて, 腎臓の機能障害と高カリウム血症も合併していました. 糖尿病かどうかを患者さんに聞いたところ, 今まで糖尿病と言われたことは一度もないとおっしゃいます. 甲状腺機能亢進症がどうなっているのか判らないと全身麻酔をかけられません. 甲状腺ホルモンの値が薬物などで適切にコントロールされていない 時に手術を受けると, 甲状腺機能亢進症状が急激に悪化することがあり, 高熱, 不整脈, 意識障害などを生じて, 最悪の場合死亡する『甲状腺クリーゼ』という状態に陥る危険があるためです.

糖尿病であることも自覚しておらず, 糖尿病性腎症であることも担当医から説明がされていないとなると, 甲状腺機能も非常に怪しかったので, 急いで照会文書を作成して, 通院中の大学病院の内分泌内科にFAXで送りました.

照会の返事が来るのに30分ほどかかりました. その結果, 以前はバセドウ病であったが, 現在は症状が落ち着いていて, そのため甲状腺機能亢進症の薬は投与されておらず, 定期検査でも甲状腺ホルモンの値は基準値内であることが判りました, 麻酔科の医師に報告して, 16時半過ぎに手術室に移動しました.

食事を摂っていたので, 誤嚥する危険性があり, 気管内挿管を行って, 吸入麻酔を行うことになりました.

股関節後方脱臼の整復方法.

引用元:Dawson-Amoah K. Dislocation of thehip: A review of types, causes, and treatment. Ochsner J. 2018.18.

麻酔後, 股関節と膝関節を90°に曲げた状態で, 膝の後方を上に持ち上げるように引っ張り上げたところ, 外れていた人工股関節を戻すことができました.

18時過ぎに病棟に上がって, ご家族にX線写真を見せて, 無事脱臼を戻したことを説明しました. 早ければ, 明日の午後に退院していただくことにしました.

18時半過ぎに病院を出ました. 日中の暑さがまだ残っていて, クルマの外気温モニターでは30 ℃でした.

トレーニング

今日は, 遅くなったので, 高強度有酸素レーニングとしてエアロバイクを30分だけ行いました. 夕方になっても暑かったため, 大量発汗しました.

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