午前の病院での仕事
昨晩は, 雨が降りました. 外に出ると地面は濡れていましたが, 雨は止んでいました. 気温は, クルマの外気温モニターでは22 ℃で, 蒸し暑く感じました.
8時前に病棟に上がって, 昨日手術が行われた3人の患者さん(膝関節半月板断裂に対する関節鏡下半月板縫合術, 膝蓋骨脱臼による大腿骨外顆部骨軟骨損傷に対する関節内骨折観血的手術, 膝関節前十字靭帯断裂に対する関節鏡下前十字靭帯再建術)の手術後の経過を確認しました. 3人とも問題なく経過されており, 朝食を召し上がっていらっしゃいました.
8時から後輩医師と一緒に朝の病棟回診を行いました.
8時半外来に降りて, 28人の患者さんの診療を行いました. 予約の患者さんだけだったので, 順調に進んで, 12時過ぎに外来診療を終えました. 引き続き, 金曜日の手術前カンファランスのためのスライドを作成しました. 来週は5件の手術を予定しています.
13時過ぎに自分の部屋に戻ってランチを摂りました.
午後の病院での仕事と手舟状骨骨折疑いの患者
今日の午後は, 手術がなかったので, 貯まっていた仕事を片付けるのに費やしました.
大学の整形外科教室に, 研修病院として毎年治療実績や学術活動などについて年次報告書を送る必要があるので, その書類を作成しました. また, 研修医に配る研修病院パンフレットに掲載する当院を紹介する原稿を作成しました.
15時前に病棟の看護師さんから, こどもさんが転んでケガをしたので, これから診てもらえないかという電話が来ました. 職員からのオファーは, 断らずに受け入れることにしていますので, 外来に来ていただくように返事しました.
16時過ぎに看護師さんがこどもさんを連れて受診されました. 転んで手を着いてから手首が腫れて痛くなったとのことでした. 診ると, 手首の親指側(橈側とうそく)が腫れていましたが, 圧してもあまり痛がりません. 手首も自分で動かせるので, 骨折はなさそうと予想しましたが, 手関節のX線写真を撮像しました.

手関節の親指側にあって, 橈骨と関節を形成している手根骨が舟状骨(os scaphoideum)です.
X線写真では, 明らかな骨折は認められませんでした.

(A)は解剖学的嗅ぎタバコ入れ(snuff box)の圧痛, (B)は舟状骨結節の圧痛, (C)は母指を長軸方向に押し込んだときの痛み.
引用元:Mohamed E. Volar percutaneous fixation of recent fracture scaphoid. Med J Cairo Univ. 2019. 87.
舟状骨骨折の可能性も考えて, 舟状骨のある部位(上記参照)も圧してみましたが, 痛みはありませんでした.
自宅にある鎮痛薬と湿布薬を使っていただいて, 1週間以上痛みが続くときには, CTやMRIを撮像するので受診するように説明しました.

初診時のX線写真では, 骨折は認められませんでしたが(A), 2週間後のX線写真では, 舟状骨の中央を横切るように骨折線が認められました(B).
舟状骨骨折は, 初診時のX線写真に骨折が映っていなくても, 骨折している場合がありえます. この場合, 時間が経過してからX線写真に映るようになることがあります. このため, 手を着いて手関節を痛めた患者さんには, 骨折の可能性があることと痛みが続く場合には受診するように説明しておく必要があります.
16時半から後輩医師と一緒に夕方の病棟回診を行いました. 入院患者さんは75人, 自分が主治医となっているのは32人でした.
17時過ぎに病院を出ました. 曇空でしたが, 雲が薄くなって, 明るくなっていました.
トレーニング
18時過ぎに自宅に戻って, エアロバイクを漕ぎました. 室温が高くなり, 湿度も高くて汗だくになりました.
入浴後にプロテインを飲んで, さらにノンアルコールビールで水分を補給しました.

再び手舟状骨骨折の話
夕食後, 金曜日のカンファランスで発表するスライドを作成して, このブログ記事を書きました.
舟状骨骨折を疑った時の臨床テストについて記載しましたが, 実際にはどのテストが有用なのかという疑問が湧いたので, 調べてみました.
イギリスのWarwick大学医学部のCoventry先生によるメタ解析の論文です. 不顕性(X線写真には映らない)手舟状骨骨折に対する各種臨床テストや臨床所見に対する過去の8つの論文を対象に, それらの感受性と特異度を求めています.


最も感受性と特異度が高かったのは, 患者が手関節を外ひねり(回外)する運動に対して抵抗を加えると痛みを生じる(Pain on supination against resistance)で, 感受性が100 %, 特異度が97.8 %でした.
この結果, 最も感受性と特異度が高かったのは, 手関節を外ひねり(回外)する運動に対して, 検者が抵抗を加えると痛みを生じる(Pain on supination against resistance)で, 感受性が100 %, 特異度が97.8 %でした(上掲Table 4参照). 先述した古典的な3つの臨床テスト(舟状骨(母指)圧迫テスト, 解剖学的嗅ぎタバコ入れの圧痛, 舟状骨骨折の圧痛は, 特異度が低くて, 不顕性の舟状骨骨折を見つけるのに, 不十分との評価となりました.
ただし, 注釈として, Pain on supination against resistanceは1つの論文で, しかも症例数が50例あまりと少ないことが挙げられていました.
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