手術日+437日目 2025/5/10(土)(肺癌骨転移)

午前の病院での仕事と肺癌骨転移の患者

昨晩は炬燵で眠ってしまいました.

5時半に病院から電話が来て, 起こされました. 3カ月前に腰椎圧迫骨折で入院された100歳近くの超高齢の患者さんの血中酸素飽和度が低下したので, 酸素を投与し始めたとの報告でした. 入院後, 食事を摂らなくなってしまい, ずっと点滴を続けていたのですが, いよいよ老衰による死期が近づいている状態と判断しました. 後ほど様子を見に行くと告げて, 電話を切りました.

目が覚めたので, 昨日のブログ記事の続きを書きました.

8時に朝食を摂ってから出勤しました. 外に出ると, 雨は止んでいました.

朝方電話をもらった患者さんの様子を見に病室を訪れると, 100 %の酸素を吸っている状態で, 血中酸素飽和度は96-97 %くらいを維持していましたが, 心拍数が150回/分に上がり, 血圧が40台に低下していました. 連絡を受けたご家族が付き添われていました. しばらく様子を見ていたのですが, 結集酸素飽和度が90-91 %に低下して, 心拍数も100回/分に減ってきました. 付き添いのご家族には, 今日, 明日中に亡くなると予想されるので, 会いたい方には今日中に会っておくようにと告げました.

また, 今週から発熱している後期高齢の患者さんがいて, メチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA)による肺炎と膀胱炎と診断して, 抗菌薬バンコマイシンを投与していたので, その経過を見に行きました. 昨日も38 ℃台の発熱があり, 食事を摂らなくなっていました. 元々腎臓の機能低下があったため, 抗菌薬は通常の半分以下の量で投与していましたが, 効果が今ひとつのようでした.

また, 昨日診療した肩関節の脱臼骨折と脛骨近位端骨折の患者さんの様子を見に行きました. 昨日膝関節に貯まっていた血液を抜いた後は, 痛みが緩和して, 夜はよく眠れたとのことでした. 膝関節を診察しましたが, 再度血液が貯まっている所見もありませんでした.

糖尿病の治療として, 今まではインスリン注射ゾルトファイ®配合注が1日1回だけ注射されていましたが, 食前の血糖値が210-390 mg/dL台と高い状態だったので, 毎食前にヒューマリンRという速効型インスリン注射と1日1回インスリングラルギンという持効型インスリン注射を行う治療(基礎・追加インスリン(basal-borus)療法)に変更しました.

来週, 手術を予定した大腿骨骨幹部骨折の高齢の患者さんの手術をどうするか, X線写真やCTを見て検討しました. 骨粗鬆症があって骨折したので, 通常の大腿骨骨幹部に使用する髄内釘だと, 大腿骨近位部で骨折した際に再手術が難しくなると判断して, 最初から大腿骨近位部骨折を予防するための器械を使うことにしました.

大腿骨頚部の癌骨転移による骨破壊の事例のCT.

引用元:Sas A. Finite element models for fracture prevention in patients with metastatic bone disease. A literature review. Bone Rep. 2020. 12.

器械のサイズを確認するために, 骨折していない方の大腿骨のX線写真とCTを見ていたところ, 大腿骨の頚部が骨が溶けるように壊れているのを発見しました. この患者さんは, 5年前に肺に異常な影があることを内科で指摘されていましたが, その後の経過観察で大きくならなかったので, 肺癌ではないだろうとされていました. しかし, CTの所見は肺腺癌のようだったので, 当院でも肺癌の腫瘍マーカーを計測していました. その結果, 腫瘍マーカーが異常に高い値でした.

さらにCTをよく見たところ, 背骨や骨盤の骨にも骨が溶けて破壊されている所見があり, 肺癌の多発骨転移と判断しました. したがって, 大腿骨骨幹部骨折も肺癌の転移で骨強度が低下して骨折した病的骨折と考えました. 看護師さんに, 右大腿骨頚部骨折が折れる危険性があるため, 右脚を動かすときはそっと動かすようにすることと, リハビリスタッフに右股関節の運動は禁止することを周知するように伝えました.

家人に電話をして, 肺癌の多発骨転移による病的骨折が強く疑われること, 骨折していない方の大腿骨も骨折する危険性が高いこと, 骨折を予防するために骨修飾薬ランマークを投与して治療を行うこと, その前提として薬剤性顎骨壊死を予防するために, 来週歯科で診てもらって, 必要時は抜歯することを告げました.

同級生の眼科クリニックへ

昼前に帰宅して, 12時過ぎに昼食を摂っていると, 目が痛くなったとこどもが言い出しました. 見ると目の周りが紅く腫れています. 今朝, コンタクトレンズを付けていたところ, 痛くなったとのことで角膜などの前眼部の炎症を疑いました. 自分は, 眼科は専門外なので, 眼科クリニックを受診するように説いて, 眼科クリニックを開業している自分の同級生が土曜日の午後に診療しているかどうか調べました. 午後も診療していることが判ったので, クルマを運転して, こどもを連れて行くことになりました.

自分も, 老眼鏡の処方箋を作ってもらうために今までに2回受診したことがありました. そのたびに, 診察料をタダにしてくれるので, 申し訳なくて, よほどのことがないと行かないようにしていました. これまでは, 受診した後にお礼として, クリニック宛にお菓子の詰め合わせを贈っていました.

13時前に出発して, 30分弱で同級生の眼科クリニックに到着しました.

以前来た時は大勢の患者さんで駐車場が一杯だったのに, 大分空きがあって, ちょっと心配になりました. 駐車場に停めたクルマの中で, ブログ記事を書きながら, こどもが診療を終えて出てくるのを待ちました.

待っている最中に, 午前中に診療に行った超高齢の患者さんの呼吸が止まったとの電話が入りました. すぐに病院には行けないので, 日直の医師に死亡確認をしていただくように返答しました.

1時間半程でこどもがクルマに戻ってきました. 中は意外と混雑していて, 1時間蔵待っていたとのことでした. 角膜にキズがついていたそうで, 痛みが引くまではコンタクトレンズを付けないようにと説明されました. 処方された点眼薬を近くの薬局で購入した後, 帰宅しました.

夕食は焼肉

16時過ぎに帰宅して, 明日のスキーに備えて, スキー板にワックスを塗りました. 明日の天気は曇りの予報です. 朝早起きして, 7時半から3時間くらい滑ってこようと考えました.

目の痛みがあったこどもは, 痛みが緩和したので職場の先輩との飲み会に出かけていきました. 妻ともうひとりのこどもと焼肉を食べに行くことにしました.

焼き肉店のカルビクッパ.

外に出ると, 少し蒸し暑く感じました. 17時半過ぎに焼き肉店に到着しました. 行く前に電話していたので, 待たずに席に着けました. 20時前まで夕食をいただきました. 〆はカルビクッパにしました.

帰宅後, Netflixで韓国のテレビドラマ『賢いレジデント生活』の第1話と第2話を見ました.『賢い医師生活』でも感じましたが, 韓国の医療ドラマの病院内の医療現場シーンのリアルさは, 日本のテレビドラマを遙かに上回っているので, 感心します. 日本では昨年4月から『医師の働き方改革』が進められて, 研修医は9時-17時の8時間勤務で済むようになりましたが, 韓国では相変わらず23時近くまでの時間外勤務があるようで, 過酷な業務が描かれていました.

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