イギリスの整形外科医であるRobert Symon Garden先生(1910-1982)は, 1961年に大腿骨頚部骨折を単純X線写真の画像所見を元にstage IからIVまでの4つのステージに分類して, その手術治療成績を研究した論文(Garden RS. Low-angle fixation in fractures of the femoral neck. J Bone Joint Surg. 1961. 43-B.)を発表されました.
原著論文には, Stage Iは, 『incomplete subcapital fracture(不完全な頚部の骨折, 上図FIG. 6)』, Stage IIは, 『complete subcapital fracture without displacement (転位がない完全な頚部の骨折, 上図FIG. 7)』と記載されています.
また, Stage IIIは, 『complete subcapital fracture with partial displacement(部分的な転位のある頚部の完全な骨折, 上図FIG. 8)』, Stage IVは, 『complete subcapital fracture with full displacement(全体的な転位のある頚部の完全な骨折, 上図FIG. 9)』と記載されています.
大腿遺骨頚部骨折の患者さんを4つのStageに分類した上で, Küntscher nail(キュンチャー釘)またはcannulated low-angle screw(中空の低角度ネジ)で固定する手術を行って, 手術後12カ月以上経過を観察した80人について, 骨がつながって治った患者さんの割合(上記表TABLE III中の『Percentage uniting(骨癒合率)』)を調べた結果, Stage IとStage IIでは全例が骨折が治っていて骨癒合率が100%であったのに対して, Stage IIIでは93%, Stage IVでは57%と骨癒合した患者さんの割合が低くなっていました.
すなわち, 大腿骨頚部骨折を生じた場合, Garden先生の分類したStage IとStage IIであれば, 手術で骨をつなぎ合わせると折れた骨がつながって治る見込みがかなり高いのに対して, Stage III, Stage IVと骨折したところのズレが大きくなるにつれて, 骨がつながって治る可能性が低くなっていくことが判明しました.
以後, このGarden分類は, 大腿骨頚部骨折の手術後に骨折が治るかどうかを予測しうる分類として, 広く世界中で用いられるようになり, 現在でも日常診療で使われています.
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