午前の病院での仕事
今日は青空が広がっていました. 気温は高めで, クルマは凍っていませんでした.
通常通りに出勤しました.
8時から後輩医師と一緒に朝の病棟回診を行いました.
時半から講堂に上がって, 来週の手術前カンファランスを行いました. 来週は, 8件の手術を予定しています.
8時45分から外来に降りて, 24人の患者さんの診療を行いました. 今日は4人の新規の患者さんが紹介されてこられました. そのうち1人は, 来週手術を行うことにしました.
12時半過ぎに外来診療を終えて, 自分の部屋に戻ってランチを摂りました.
昼休み中にスキー場のHPを確認しました. 最後の頼みの綱であった天元台高原スキー場も今週のオープンは延期と記載されていました. 東北では, 今週末のスキー場のオープンはなく, 来週以降となることが確定しました.
午後の病院での仕事とインフルエンザワクチン接種
14時に外来に戻りました. 今日の午後は, ワクチン接種の問診係に当たっていたので, インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンの接種を希望される患者さんの問診を行いました.
当院の職員は, 29日までにインフルエンザワクチンの接種を終えることが求められていたのですが, 自分はまだ摂取していませんでした. ワクチンを無駄なく使うために, 2人でペアをつくってワクチンを接種することになっていたのですが, なかなかペアが見つからず. 午後に私のこどもがワクチンを接種しにきたので, 一緒に接種しました.
日本では, インフルエンザワクチン（インフルエンザHAワクチン）を皮膚の下の皮下脂肪に注射（皮下注射）するのが一般的です. 『インフルエンザHAワクチン』の『用法及び用量』の項には, 『6ヵ月以上3歳未満のものには0.25mLを皮下に, 3歳以上13歳未満のものには0.5mLを皮下におよそ2〜4週間の間隔をおいて2回注射する. 13歳以上のものについては, 0.5mLを皮下に, 1回又はおよそ1〜4週間の間隔をおいて2回注射する. 』と記載されています.
一方, 海外では筋肉の中に注射（筋肉内注射）することになっています. アメリカ疾病予防管理センター（Centers for Disease Control and Prevention; CDC）のHPには, 『 For adults 19 years of age and older, the deltoid muscle in the upper arm is the preferred site, although the vastus lateralis muscle in the anterolateral thigh may be used if the deltoid site cannot be used.』（19 歳以上の成人では, 上腕の三角筋が至適部位であり, 三角筋が注射に使えない場合には, 大腿前外側の外側広筋でもよい）と記載されています. つまり, 肩かふとももの筋肉に注射することになっています.
亀田総合病院の馬嶋先生の研究（馬嶋. インフルエンザワクチンにおける皮下注射・筋肉注射の差異-発症率・接種時疼痛・副反応の前向きコホート観察研究-. 環境感染雑誌. 2021. 36.）によれば, インフルエンザワクチンを皮下注射した職員のうちインフルエンザに罹った人は, 11.3 %であったのに対して, 筋肉注射した職員では8.5 %と明らかに少なかったことが報告されています（p=0.018で統計学的に有意差あり）.
また, 注射した時とその後の副反応である痛みも, ワクチンを皮下注射した職員たちよりも筋肉内注射をした職員たちの方が明らかに軽かったことが判っています（上図, 図2, 図3参照）.
引用元：馬嶋. インフルエンザワクチンにおける皮下注射・筋肉注射の差異-発症率・接種時疼痛・副反応の前向きコホート観察研究-. 環境感染雑誌. 2021. 36.
古い研究論文になりますが, B型肝炎に対するワクチンを腕とお尻に注射した人たちで, ワクチン接種後にB型肝炎に対する抗体（感染を防ぐタンパク質）がどれくらできたかを比較した研究があります. その結果, 1インチの長さの針でワクチンを腕に注射した人たち（上図Figure 1のGroup 1-Ar）は, 1インチの長さの針でお尻に注射した人たち（上図Figure 1のgroup 1-Bu）の最大約17倍の抗体ができていました.
B型肝炎を予防するには, 血液の中の抗体の量（抗体価）が10 mIU/ml以上必要です. 1インチの長さの針で腕にワクチンを注射した人たち（上表Table 3の1-Ar）では, 12ヶ月後にB型肝炎を予防できる抗体価を獲得できた（上表Table 3のNo. ≧ 10 SRU）のは, 87.1 %でしたが. 一方, 2インチの長さの針でお尻に注射した人たち（上表Table 3の2-Bu）では71.2 %, 1インチの長さの針でお尻に注射した人たち（上表Table 3の1-Bu）では53.8 %しかいませんでした. この差は, 腕の注射では確実に腕の筋肉の中にワクチンが注入されたのに対して, お尻の注射では皮下脂肪が厚いためにワクチンがお尻の筋肉の中に注入されずに, 皮下脂肪の中への注射となってしまったからと考えられます. 逆に言えば, ワクチンは筋肉に注射しないと期待される感染予防効果が得られないということになります.
インフルエンザワクチンを接種したのに, インフルエンザに罹ってしまうことがあるのは, インフルエンザワクチンを皮下注射していることが原因となっている可能性があります.
なぜ, 日本だけがインフルエンザワクチンを皮下注射しているのかについて, 日本ではかつて抗菌薬や解熱薬をふとももの筋肉（大腿四頭筋）の中に注射していましたが, 1970年代にこどもの大腿四頭筋が硬くなって膝が曲がらなくなる大腿四頭筋短縮症という合併症が問題となったからです.
私は8年前から家族も含めてインフルエンザワクチンを三角筋に筋肉内に注射してもらっています. 皮下注射していた時よりも明らかに痛みが少なくて済んでいます. また, みんなインフルエンザに罹っていません.
新型コロナワクチンの接種が海外と同じく日本でも筋肉内注射で実施されたことから, インフルエンザワクチンの接種も海外と同じように筋肉内注射で実施されることが広まると良いと思います.
16時から看護師, リハビリスタッフ, 社会福祉士と一緒に病棟回診を行いました. 後輩医師達は手術中だったため, 医師は私だけでした.
17時に病院を出て, 帰宅しました.
講演会
19時から講演会があるため, 会場のホテルに移動しました.
参加人数は, 10数人でしたが, 整形外科だけではなく, 消化器外科, 泌尿器科, 婦人科, 病理診断科, 放射線科といろいろな診療科の医師が参加された講演会でした.
19時から20時半まで, 大学にいた頃に一緒に働いていた放射線科医師と岡山大学の教授のお2人の講師の講演を聴講して, 知識をアップデートしました.
21時半に帰宅して, 夕食をいただきました. 明日はお休みなのと, 年末年始はスイスで毎日ワインを飲む見込みなので, 今から慣れておこうということで, 妻と赤ワインを飲みました.
おつまみは, 山形の銘菓『乃し梅』のクリームチーズのせでした.
コメント