手術日+555日目 2025/9/5(金)(膝蓋骨骨折の再手術)

午前の病院での仕事と脆弱性骨盤骨折の患者

台風15号の影響で, 朝からしとしとと雨. 気温は25 ℃に届かず, ようやく秋の気配を感じる涼しい朝でした.

8時前に病棟に上がり, 昨日, 後輩医師が執刀した2人の若い患者さんの術後経過を確認しました.
1人は反復性膝蓋骨脱臼に対する関節鏡下膝蓋大腿靱帯再建術, もう1人は膝関節のロッキングに対する滑膜切除術. いずれも順調に経過していたので, 安堵しました.

8時からは後輩医師とともに病棟回診. 昨晩は当院が整形外科の救急輪番日で, 腰痛を訴える超高齢の患者さんが1人搬送されていた.
X線では骨折は見られず, MRIで精査することなりました.

その後, 8時半から講堂でカンファランス. リハビリスタッフによる学会発表の予演会が行われ, 続いて来週予定している6件の手術症例について検討しました.

9時前に外来に移動し, 47人の患者さんを診療. 午後に臨時手術があるため, 予約外の診察はお断りせざるを得ませんでした.
診療の合間に, 他院から「高齢の骨盤骨折患者を紹介したい」という電話.
時間の都合を伝えて, すぐに救急車で来院されるように要請しました.
さらに外科開業医から膝骨折の紹介希望もありましたが, 手がいっぱいのため今回はお断りしました.

骨盤脆弱性骨折のRommens分類.

引用元: Rommens PM, Hofmann A. Comprehensive classification of fragility fractures of the pelvic ring: Recommendations for surgical treatment. Injury 2013. 44.

昼過ぎ, 救急搬送された患者さんを診察. 転倒歴はなく, 持参されたCT画像では仙骨と恥骨の骨折を認めました.
骨粗鬆症による骨盤の脆弱性骨折(骨粗鬆症によって骨強度が低下したための骨折)であり, Rommens分類IIbと診断*しました.

患者さんは肺MAC症(非定型抗酸菌による肺炎)の既往があり, 呼吸機能が低下しているため, 自宅に酸素ボンベを設置して酸素を吸って生活する在宅酸素療法中でした. 慢性的な呼吸機能低下による低酸素血症は, 骨粗鬆症の原因となり得ます.
幸い, 骨折部はズレがなかったため, 安静を取っていただき, 骨がつながるのを待つ治療で良いと判断しました. 発熱があり, 肺炎に対する治療を行う必要があるため, そちらの治療を優先して行ってもらうように紹介元の病院のかかりつけの内科医師に, 骨粗鬆症の検査, 治療薬について提案する返事を書いて, 戻っていただくことにしました.

12時半に外来業務を終え, 13時過ぎに昼食.
食事をとりながら, 臨床研究のための倫理委員会申請書類を印刷しました. A4で100枚ほどの分厚い申請書を提出しました.

午後の病院での仕事と膝蓋骨骨折の再手術

昼食を終えると, 手術部へ向かいました.
13時半から予定されていた外来患者の日帰り手術は, すでに後輩医師の執刀で無事終了していました.

膝蓋骨骨折に対して鋼線と軟鋼線を用いたテンションバンドワイヤリング法で治療した後, ワイヤーがズレてしまった事例のX線写真.
Cでは, 軟鋼線が鋼線のから外れてしまって, 骨折部が開いてしまっています.

引用元:Xue Z. Two-tension-band technique in revision surgery for fixation failure of patellar fractures. Med Sci Monit. 2016. 22.

続いて14時から, 膝蓋骨骨折の再手術を担当.
1週間前に行ったテンションバンドワイヤリング法による固定後, ワイヤーが緩み骨折部が開大してしまった症例でした.

引用元:Posner AD. Patellar fracture fixation with cannulated compression screws and Ffber tape cerclage. Arthroc Tech. 2021. 10.

骨折部が開かないように強力な樹脂製のテープで補強して, 1時間ほどで手術を終了しました.

大腿骨転子部骨折の手術予定

今週火曜に入院した大腿骨転子部骨折の超高齢患者さんは, 尿路感染に対する治療で全身状態が改善.
手術室のスケジュールの都合もあり, 翌週木曜日に手術を予定しました.
器械の手配を販売業者に依頼しました.

15時過ぎ, 病棟でご家族に手術内容を説明. 患者さんは高度認知症のため, 家族の同意で手術に臨むことになりました.

癌多発骨転移による腰痛

大腸癌の腰椎多発骨転移のMRI.
骨の中の白く丸く写っている部分が癌の骨転移病巣です.

引用元:Kawamura R. Atypical presentation of colorectal carcinoma with sole multiple osteolytic bone metastases: a case report. J Med Case Rep. 2021. 15.

午前に搬送された腰痛患者のMRI結果を確認.
骨折はなく, 脊椎内に多数の円形陰影を認め, 大腸癌の既往から多発骨転移と診断.
後輩医師がオピオイド(麻薬様鎮痛薬)を処方し, 疼痛管理を開始しました.

16時から病棟看護師, リハビリスタッフ, 管理栄養士, 社会福祉士と一緒に病棟回診を行いました. 入院患者さんは80人, 自分が主治医となっているのは38人でした.

17時前に病院を出ました.

病院外の事務作業

病院外の事務所に向かいました. 途中, 雨が強くなって, 風も少し出てきました.

17時半から約3時間, 書類チェックを後輩医師と行いました.
20時半すぎに作業を終えて外に出ると雨はすっかり上がり, 台風はすでに東海上へと抜けていました.

明日からの三重出張と伊勢神宮参拝はどうやら予定どおりに行けそうです.

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