手術日+421日目 2025/4/24(木)

午前の病院での仕事と入院患者の大腿骨頚部骨折

今朝は, 青空が見えて, 爽やかな気候でした. 気温は昨日より高く, 16 ℃でした.

通常通りに出勤しました.

8時前に病棟に上がって, 昨日後輩医師の執刀で手術が行われた膝関節の中の断裂した前十字靭帯を再建する手術(関節鏡下靱帯形成術)と大腿骨頚部骨折に対する大腿骨人工骨頭挿入術の患者さんの経過を確認しました. お二方とも問題なく経過されていました.

後輩医師が学会に出張中のため, 8時から1人で朝の病棟回診を行いました. 回診の途中で, 腰椎圧迫骨折で入院中の後期高齢の患者さんの血圧が下がっているという報告を受けました. 元々認知症があって, 入院中に認知症が進んでしまった結果, 食事を全く摂らなくなったため, 点滴を継続していた患者さんでした. 何回か発熱を繰り返していて, その都度尿路感染症と診断して, 抗菌薬を投与していました. 病室を訪れると, 全身の浮腫がある状態でした. 検査のオーダーを入力しました.

また, 大腿骨頚部骨折に対して人工骨頭挿入術が行われて, リハビリテーション中の高齢の患者さんが, 今日の2時頃にベッドサイドで転倒されてから, 手術をしていない反対側のふとももを痛がっていると夜勤の看護師さんから報告されたので, 診察しました. 痛い方の股関節を自分で動かすことはできましたが, 深く曲げるとふとももの付け根の痛みが出るので, 自分と同じく非転位型の大腿骨頚部骨折を疑いました. X線写真を撮像するようにオーダーを入れました.

9時前に外来に降りて, 午前中は39人の患者さんの診療を行いました. 外来診療を終える間際に, 自宅内で転倒してから手首が痛くなったという超高齢の患者さんが来院されました. 受付時間は終了していましたが, 1月に肩(上腕骨近位部)の骨折で当科の外来で治療をしていた患者さんでしたので, 受付してもらいました.

診察したところ, 手首の変形はありませんでしたが, 腫れていて, 腕の骨(橈骨とうこつ)の手首に近い部分を圧すと痛がるので, 橈骨遠位端骨折と診断して, X線写真を撮るようにオーダーを入れました.

橈骨遠位端の亀裂骨折の事例のX線写真.
橈骨遠位端に縦に黒い線として写るヒビ(骨折線)が入っていますが, ズレはありません.

引用元:Huang Y. Delayed recovery of spontaneous circulation following cessation of cardiopulmonary resuscitation in an older patient: A case report. J Med Case Rep. 2013. 7.

撮像されたX線写真を見たところ, 橈骨遠位部に縦にヒビが入った橈骨遠位端の亀裂骨折でした. ギプス製の板(ギプスシーネ)をあてがって, 包帯を巻いて固定しようとしたところ, 付き添いの家人から, 認知症のため全部外してしまうので, ギプスを巻いてもらいたいと言われました. 腫れが少なかったので, 今後も腫れる心配は少ないと判断して, プラスチック製のギプスを巻きました. 3週間後にギプスを外すので, 予約を入れました.

外来診療の合間に, 血圧が下がっている高齢患者さんの検査結果を確認しました. 血液中のナトリウム濃度が103 mEq/L(基準値:135〜150 mEq/L)しかなく, 低ナトリウム血症と診断しました. 1カ月以上食事を摂っていなかったことによる抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)を疑って, さらに検査を追加し, 輸液でナトリウムを追加すると同時に尿を増やす薬(利尿薬)を投与して, 多すぎる水を体外に排泄させる治療を開始しました.

骨折時股関節CT前額断
私の大腿骨頚部骨折時のCT前額断.
同じように大腿骨頚部が外反陥入した骨折でした.

また, 大腿骨人工骨頭挿入術後の高齢患者さんの股関節のX線写真を見たところ, 反対側の大腿骨頚部に自分が受傷したのと同様の外反陥入型の骨折を認めました. ご家族に電話をして, 状況を報告しました. 学会で出張中の後輩医師が主治医となっているので, 出張から戻ってきた後に治療方針(手術しないで安静を保って骨がつながるのを待つか, 手術療法を行うか, 手術を行うとすると, 骨を器械でつなげる手術(内固定術)か人工骨頭挿入術か)を決定して, また連絡することになりました.

13時前に外来診療を終えて, 自分の部屋に戻ってランチを摂りました.

午後の病院での仕事と上腕三頭筋挫傷の患者

14時に外来に戻って, 午後は6人の患者さんの診療を行いました. 整形外科クリニックからの紹介で2人の患者さんが新規でいらっしゃったので, 1人はこれからMRIを撮像して, 今日中に診断することにしました.

MRIを待っている間, 昨日多発肺転移が見つかった大腿骨頚部骨折の超高齢患者さんの造影CTの結果を確認しました. お腹の中の腫瘤にも造影効果が認められたので, 大腸癌の疑いが強まりました. 外科の先生に見ていただいたところ, 診断を確定するには生検が必要と言われました. 今後, 家族と相談して, さらに検査するかどうかを決める予定としました.

両側の上腕三頭筋損傷のMRI T2強調像 前額断.
損傷した上腕三頭筋が白く写っています.

引用元:Buyle C. Exertion induced rhabdomyolysis in both triceps muscles in a 36-year old woman: A case report. Radiol Case Rep. 2024. 19.

甲状腺が大腿部の筋肉内に転移した事例のMRI.
大腿の内側の筋肉(内転筋)が炎症を生じた結果, 白く写っています.

引用元:Valkenborgh C. Muscle metastasis from undifferentiated (anaplastic) thyroid carcinoma. J Belg Soc Radiol. 2019. 103.

16時半過ぎにMRIが撮れたので, 確認しました. 腕にできた腫瘤の患者さんで, 腫瘍が疑われて紹介されてこられました. MRIでは, 明らかな腫瘍のような病変は認められず, 腕の筋肉(上腕三頭筋)が部分的に切れた状態(筋部分断裂:いわゆる肉離れ)と診断しました. ただし, 3年前に大学病院で甲状腺癌に対して甲状腺を切り取る手術が行われていました. 癌が筋肉の中に転移している状態も否定できません. 外来で経過を見て, 通常の筋部分断裂後の経過と異なる場合には, さらに検査を行うことを説明して, 次回の予約を入れました.

16時45分から病棟に上がって, 1人で夕方の病棟回診を行いました. 入院患者さんは82人, 自分が主治医となっているのは44人となりました.

スライドの締め切り

18時前に病院を出ました. 駐車場に歩いて行くと, 急に声を掛けられました. 声の方を向くと, 来月の講演会の後援をしてくださる製薬会社の担当の方が立っていました. 講演会のスライドを明日までに提出してくださいという用件でした.

まだ, 進捗率は50 %程度だったのですが, 何とか間に合わせますと答えて, 帰宅しました.

というわけで, 急いでスライドを完成させないといけなくなり, 今日はトレーニングをお休みしました.

コメント

タイトルとURLをコピーしました